※このお話はフィクションです。
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浴衣を着て花火大会に行く。
まだ空が明るい、吸い込まれそうだ。
髪はまとめた。暑い日々が続いているから、
そんな気分になった。
誰とも約束はしていない。
そんな日があったって良いだろう。
到着する。
もう花火は始まっている。
少し遅れてしまったのかもしれない。
普段履かない下駄を探すのに手間取ってしまったからだ。
1人だし、諦めて別のサンダルにすれば良かったのだろうか。
いや、これで良いんだ。
花火なんか本当はどうでもいい。
空に咲く、きれいな花。
あんなにきれいなものが火でできている訳がない。
つい心を奪われそうになるが、
本来の目的はこれではないことを思い出す。
なぜ、ここへ来たのか。
なぜ、こんなに人が多い日にわざわざここへ出向いたのか。
わからない。
はっきりとわかっていた、
花火が目的ではないことは。
はっきりとわかっていた、
誰とも待ち合わせをしていないことも。
それでもはっきりとわかっていた。
自分には明確な目的があったから今日ここに来たんだ。
目的を忘れてしまうなんて。
頭を冷やさねば、と思いかき氷を買う。
縁日の定番だろう。
ブルーハワイ味。
フワフワの氷が逆に頭を空っぽにする。
もっとジャリジャリとした食感を求めていたのかもしれない。
優しすぎるかき氷は、
私に心躍せられることもなく早々に食べ終わられてゴミ箱に捨てられた。
「もう一つ、何かを買ってみようかな。」
少し楽しむ気分になってきた。
橋の形をしたチョコレートを買った。
随分と珍しいものが売っているのだな、と思った。
「まだまだ。」
次に、車の形の冷やしトマトを買った。
昔から車が好きだったから、うれしかった。
「他には何がある?」
くじ引きで空飛ぶ靴を当てた。
今までこの類の遊びで得をしたことがなかったから、思わず笑みがこぼれる。
初めて何かに当選した。
次に買うものを探して、
あたりを見回す目はきっと光り輝いていることだろう。
「次で最後。」
花火を閉じ込めたヨーヨーを買った。
割ったらいつでも花火を見ることができるらしい。
線香花火のような小さいタイプだろうか、
打上花火のような大きいタイプだろうか。
そういえばもうすぐ誕生日だな。
いつ割るか、考えるだけでも心が躍る。
「やっぱりもう一軒だけ。」
射的の屋台のお姉さんに話しかけようとしたとき、
足下に冷たい何かが触れた。
高揚していた気分は冷めたが、視線を向けてみる。
水?
波?
海?
自分がどこにいるのか、一瞬にしてわからなくなった。
夏のぬるい空気が足下をすくい、自分を何処かへ連れ去った気がした。
でも、気がしただけだった。
さっきまで両手いっぱいに抱えていた
魔法のような食べ物とお土産は消えていた。
一つ、潮水にぬれたビニール袋を腕から下げていただけだった。
花火が透けるヨーヨーは、どこへ行った?
残ったのは、自分の周りにまとわりつく、遠くで知らない子供が吹くシャボン玉だけ。
花火が放っていたと思っていた輝きは、
夜の波が反射した光を吸収したシャボン玉だったのか?
今日得た魔法は全て失ったが、不思議と喪失感はなかった。
魔法はいずれ解けるものと知っていたし、
ようやく目的を思い出せたからだ。
誰に感謝をしたら良いのかわからないが、
今日は楽しかった。
本来なら、
普段から冷静な自分がこんな夢に躍らされるはずがない。
少し悔しい気もしたが、
良い思い出は作れた。
ーこの暑い日に、チョコレートが溶けないはずがなかったんだ。
※このお話はフィクションです。
(話題が変わります。)
(Story Ended)
「しゃぼんだまとはなび。」
振り返ってみると以前、このようなタイトルでブログを更新していることがありました。
今回カタカナと漢字にそれぞれ表記を変えたのは、今の自分にとってはこちらの方がより心地よく感じたからです。
より夏らしく、
より爽やかで、
少し切なさを感じるような...
あっ、自己紹介を忘れました!
アメリカ生まれ、
19歳になりました、
趣味は空をみること、
な
北川悠理です☺︎
余談ですが、
このワンピースを着ると、なんとなく
テニスをするのかなと勘違いしてしまいます。
芝生色とでも言うのでしょうか。
テニスコートの色でしょうか。
素敵な緑色だな、と思います。
とってもありがとうございました☺︎
北川悠理
さすがゆりちゃん〜
大好きだよ!